2020年10月,「ビジネスと人権に関する行動計画に係る関係府省庁連絡会議」において,企業活動における人権尊重の促進を図るため,「ビジネスと人権」に関する行動計画が策定されました。
出典:外務省ホームページ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100104121.pdf 2022年1月16日最終閲覧)
政府は,本行動計画の策定を,SDGsの実現に向けた取組みの一つとして位置付けています。
大雑把にいえば,本行動計画は,企業に人権尊重を求める動きが広がる国際的な潮流の中で,より一層,企業による人権尊重の取組みを強化すべく,策定されたものといえます。
このような企業に人権尊重を求める流れは,M&A(特に上場企業が買収者となるもの)の場面において,法務DDの在り方にも変化をもたらしています。
従来の法務DDは,法令違反の有無や企業価値を損なうリスクの確認といった性格が強いものでした。
しかし,近時のDDでは,法令などのハードローだけでなく,法規範ではないが拘束感をもって従っているソフトローも遵守しているかどうかや,サプライチェーンにおける人権侵害の有無など,調査の対象が広がってきています。
中小企業間のM&Aにおいては,必ずしも上記のようなDDが求められるとは限りませんが,サプライチェーンの担い手として,人権尊重の姿勢は注目されていると考えておくべきでしょう。
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