• 弁護士 平井 優一

サステナビリティ・リンク・ローンの課題と注意点

 サステナビリティ・リンク・ローンとは,温室効果ガスの排出量など,サステナビリティに関わる指標(KPI:Key Performance Indicators)について,削減量やその達成期限などの目標(SPTs:Sustainability Performance Targets)を具体的に定め,その目標の達成・未達成に応じて,金利等の融資条件が変動するローンをいいます。


 融資を受ける企業にとっては,自社のSDGsないしESG戦略に整合するSPTsの達成を通じて金利等が優遇されることになり,自社のサステナビリティ経営を高度化するインセンティブが得られることになります。

 

 このローンの大きな特徴は,借入金の使途が限定されておらず,会社の運転資金にも用いることができる点にあり,この点が,借入金の使途がグリーンプロジェクトに限定されているグリーンローンとの大きな違いです。


 サステナビリティ・リンク・ローンの目的は,企業のサステナビリティ経営を高度化し,もって,持続可能な社会の実現につなげることにありますから,このローンを利用するにあたっては,SPTsが既存の取組みによって容易に達成できるようなものであってはなりません。

 環境省が策定した「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2020年版」では,「SPTsは,借り手のビジネスにおけるマテリアリティ(重要課題)に関連した野心的かつ有意義なもの」でなければならないと強調されています。

グリーンボンドガイドライン グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン(2020年版)
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出典:グリーンファナンスポータル(環境省)(http://www.env.go.jp/press/files/jp/113511.pdf 2022年1月24日最終閲覧)


 こうした観点から,SPTs設定の妥当性や達成状況について,外部機関の評価を受けることが求められています。


 外部機関の評価を必要とすることは,中小企業にとってはかなり高いハードルといえます。

 中小企業にとっても,SDGsに取り組むインセンティブとなりうる点で,サステナビリティ・リンク・ローンは魅力的な商品と考えられますが,利用のしやすさの点において,まだ課題があると思われます。